米国のテック大物イーロン・マスク(Elon Musk)氏は今年1月、OpenAIが非営利の当初の目的から逸脱し、マイクロソフト(Microsoft)と提携したことは詐欺にあたるとして、約790億ドルから1340億ドルの損害賠償を求める訴状を裁判所に提出しました。本件は今週月曜日(4月26日)に審理手続きに入り、陪審員の選出が始まりました。
AFP通信の報道によると、本件はカリフォルニア州オークランド(Oakland)の連邦裁判所で審理されており、マイクロソフトのサティア・ナデラ(Satya Nadella)CEOが出廷し証言する予定です。
マスク氏が提訴した理由は、OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOとの個人的な確執に起因するとされていますが、同時に「AIは最終的に少数の権力者に奉仕すべきか、それとも社会全体に利益をもたらすべきか」という核心的な争点も浮き彫りにしています。
マスク氏は弁護士が裁判所に提出した文書の中で、2015年にアルトマン氏がOpenAIの技術は「全世界のものになる」と主張して自身の支持を説得し、それを受けてOpenAIの設立を支援し、3800万ドルのシード資金を寄付したと主張しています。しかし、その後の会社の方向転換により詐欺に遭ったとして、現在約5000億ドルと評価されるOpenAIの価値の一定割合を取得する権利があると述べています。
金融経済学者で専門家証人のC.ポール・ワザン(C. Paul Wazzan)氏は、損害賠償額の算出にあたり、技術的・商業的な助言を含むマスク氏の金銭的および非金銭的な貢献を考慮に入れました。同氏の試算では、マスク氏はOpenAIから約655億ドルから1094.3億ドルの「不当利得」としての賠償金を得る権利があるとしています。また、マイクロソフトに対しても同様の計算を行い、その「不当利得」は約133億ドルから250.6億ドルの間であると認定しました。
マスク氏は文書の中で、陪審員がいずれかの企業の責任を認めた場合、将来的に懲罰的損害賠償やその他の処罰を求め、差し止め命令を申請する可能性があるとも述べていますが、詳細については触れていません。
